縁切られちゃった


基本的に極楽とんぼで生きてる身としては,実家に帰ると言うのはけっこう
ストレスフルなことなんですね.やれ結婚はどうだのそれ以前に就職は一体
どうなっとんじゃだのいろいろ言われるわけです.まあ実際に就職してない
ぶらりんな状態だからこそなんですけど.でもそれなりに就職活動はしてる
わけですし,まったくなにもしていない状態ではないのでそんなにも口を
はさまれる覚えもないと思うんですけれどもね.だけど,だけどね,身内に
病人がいる場合はやっぱりみんな神経がささくれだってしまうわけでして.

えっと,うちの現状.それなりの投資をして新しく店をオープンしました.
次の日に父親のひとが入院しました.さらに,その数日前から祖母のひとが
危篤状態で母のひとは環境につぶれそうでした.それでも店をなんとかして
切り盛りせねばならず,とってもとっても疲れております.急遽姉のひとと
一緒に実家に帰ることになったのですが,姉のひとは4人の子持ち.しかも
一番上がまだ小学校低学年といういちばん手のかかるお年頃.さらにさらに
姉のひとは体調が悪く,こないだ手術をしたばっかりでした.これだけの
不安材料を抱えて我が家は楽しく一家団欒できるわけもなく.こぼれていく
愚痴を拾ってあげたりすることぐらいしか,ぼくにはできないわけですね.

姉のひとは昔手伝いをしていたこともあり,いろいろと店の力になれると
いうことだったんですが,それでは手伝っているあいだ子どもの世話は誰が
見る,ということで.実家まで連れて来ちゃったわけなんですね.もちろん
電車や新幹線や地下鉄で移動する間ずっと騒いだりなんじゃらかんじゃらで
子どもが嫌いなぼくとしては結構神経がすりおろされておりました.だいぶ
ナーバスになっていたことでございましょう.でも子どもだとは言えせめて
車内で迷惑行為を働いた場合には親が謝罪するってのがスジだとぼく自身は
思うのですがいかがなものでしょう.姉のひといわく「子どもっていうのは
そういうものよ」だとか.殴ってでも世間を教えろよ,とぶつぶつ思うのは
狭量なのでしょうか.とりあえずそんなこんなで店の方に到着しましたが.

店の中で暴れ回る子どもたち.姉には姉の教育方針がある,心を揺らしては
いけないと自戒.ぼくだって好き勝手に育って来たわけなんだから他人に
自分の考えを押しつけてはいけないと自戒.家に帰っても深夜になっても
暴れ回る子どもたち.心を揺らしてはいけない.就職活動がなかなかうまく
進んでいないということを話していると,まあいろいろ文句も垂れられる
わけです.のらりくらりとそんな会話をしていると,そののらくらさ加減に
姉のひとがキレたらしく,「もうこんないいかげんでなんでもかんでも人の
せいにばっかりするような奴姉弟と思いたくない,縁切りたいわ」と叫んで
席を立ちました.あーあ,あんなに怒らなくてもいいのに.姉のひとの気が
立っているので先に帰ることにしました.本当は1週間くらいの滞在予定
だったんですが,2泊3日で帰って来ることに.さらには姉のひとはぼくが
先に帰ることをあてつけだと思ったらしく,それはそれはもう不愉快そうに
「そうやってまた私のせいにするつもりなんやろ」と言う.誰か助けて.

あてつけるつもりなど皆無なのにそういうことを言われるのは疲れます.
とりあえず祖母のひとの容体も見たし父のひととも話し合えたことだし,
今はもう先に帰って就職活動をしてたほうがまだしも建設的ではないかと
思っただけなんですが….どうせこんなページを姉のひとが見ているわけが
ないので,ここで言ったところでせむかたないことなのでありますがねえ.

ともあれ「縁を切る」という言葉をはじめて使われてしまったわけですが
あまりショックでもないのは心のどこかで姉が嫌いだったんでしょうか.
とりあえず子どもの世話を見ることからは解放されてラッキーかな,とは
思ってますが.キレた時のセリフだしねえ.あと,ひとから嫌われるのは
慣れてるというのもあるでしょう.ぼくのことを恐いだとか嫌いだとか
いうひとは何人でもいるでしょうし,実際に面と向かって言われたことも
それなりにあります.いまさらそれが一人増えたからって,ねえ.そんな
思いを抱きながら,今度はひとりの新幹線に乗って帰るのでありました.


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