仲間に入れて欲しかったらわたしはダメな人間です,って言え


最近気になっている事があります.ひととの温かいやりとりに
「そうですか,それはいいことだと思います」とか「えっと,
それはあまりいいこととは思いません」だとか,そんな感じの
紋切型の答えしかできていないことに気がついてしまったのです.

すべてをいいと思うか悪いと思うか.こんな簡単で幼稚な二分法
どこからこびりついたんだ.いいものも悪いものもひっくるめて
受け入れる心や,よくて悪い事や悪くてよいことの存在をやんわり
抱きしめることができないダメな人間になっていました.ダメだ.
いいことも悪いこともすべてのひとの上に同じく朝も昼も夜は
やってくるというのに,朝の光も昼の空も夜のとばりも,人や思想を
差別はしません.ずっとずっとそんなものに憧れていたはずなのに,
いつのまにか自分の基準がすべてのような顔をするつまらない人間に
なってしまいました.こんなんじゃだめなんです,こんなんじゃ.

商売柄ひとから相談される事って結構多いのですが,それもまた
ぼくを頼って来てくれている以上は,紋切型でないぼくなりの
考え方を示してひとを元気づけてあげたいと思うのに,それが
最近おろそかになっています.こんなことじゃいけない.ただ
飛び道具過ぎず,中庸過ぎず,ぼくがかけてあげられる最大の
誠意を傾けてあげられていない自分について哀しくなりました.

『イイヒトって言われたって,ドウデモイイヒトみたい』と
かつて浜崎あゆみは歌いました.『やさしいあのひとは,
自分にもやさしいひとだった』と西原理恵子は描きました.
ぼくは要求水準が低いほうです.ひとに期待しないし希望も
求めない.絶望もしない.でも逆に自分もやさしく甘やかし
多くを求めないで下さい何か希望しないでくださいといつも
いつも恐れおののいているような気がするのです.これが
歳を取ったということなのでしょうか.そんな人づきあいなら
ない方がましなのかもしれません.今日はため息をたくさん
ついて捏ねて練り上げて,ぼんやりしてしまいました.また
いつか,どうでもいいわけじゃないぼくならではのいいひとに
近づけたらいいな,と思います.来年の目標にしましょう.


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