駕籠の鳥

目を閉じても目を開けても変わらない世界
暗くても明るくてもぼくはもう気にしない
ため息をつく胸の動きだけで広がっていく頭痛
薬や食事やラベル付きの時間が過ぎるのを待つ

決められたことを決められたようにやれない人びと
笑いたいように笑えないままに笑われていく
神様は見守ってくれる君だけの神様だけど
願いは妄想になってこの部屋の空気を満たす

から元気の看護婦たちは物のような人としてぼくらを扱い
少しずつぼくらは人のような物になっていく
閉じられた扉の隙間から吹くひんやりとした風だけが
この部屋に許された最後の世界へのあいさつ

はめ殺しの窓から空を飛ぶ空想をする
そんなことを話せば医者はまた困った顔をする

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