聞け かの海の果ての響き 弾け飛ぶ黄銅色の釦
互いを見る事も無く 唯 我武者らな叫び声
青空は見てゐた 森の奥手の疲弊した命
生き永らえた奇跡を祝う八月
想ひ出は尽きず 本土に泣いてゐた
あの娘も今は空を見上げて
何を回顧してゐるのやら
あの時の言葉 忘れられやうか
君のためだけならば戦えるだらう
君となら玉砕しても構はない
行け 青空を越えて光る 飛行機は平和を運んでゐる
救援物資はいつも いつでも足りぬものだから
薄ぼけたラヂオの あの悲しみと安堵した心
唯ひたぶるに己を責めた時代の
想ひ出は尽きず 群雲立ち上がる
心残りを一人ごちつつ
懐かしさ故に 涙 墜つ
あの時の言葉 その一つだけが
闇雲な時の中送られていった
唯一の勇気の支えだった事
混乱と貧困と不安と迷走
発展と開発と平和と瞑想
今は昔の物語 風の便りに聞く所
遠くて生きてゐたとのみ 後の行方も知れず
想ひ出は尽きず 本土に泣いてゐた
あの娘も今は空を見上げて
何を回顧してゐるのやら
あの時の言葉 忘れられやうか
君のためだけならば戦えるだらう
君となら玉砕しても構はない