最後はたいていカッコ良くなるもの
なごり雪や 散る桜や
つくつくほうしの鳴く頃に
その季節を振り返る幸せひとしずく
季節の巡る街に生まれて良かったと 心から思うだろう
時には自分の宇宙に閉じ込もって 見えなくなるけれど
それでもぼくはこの街に生まれて こうやって暮らしてきた
だから散るもみじにも手を振ろう ありがとうと言いながら
散歩をするなら土の踏める場所に
アスファルトではぼくには重たくて
季節の残したものを見つけられたなら
なんだかやっと追いついた気分で
冬の終わり 春の終わり
長かった夏休みの終わり
それぞれの季節を思い出す切なさかみしめて
季節の巡る街に生まれて良かったと 心から思うだろう
時には春風の砂ぼこりなんかに 閉口するけれど
それでもぼくはこの街に生まれて こうやって暮らしてきた
だから去る季節にも手を振ろう また今度と約束を
たまには真夏の暑さに耐えかねて うんざりするけれど
ときおり孤独の寒さが身にしみて 泣きたくなるけれど
それでもぼくはこの街に生まれて こうやって暮らしてきた
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