骨が砕ける音

その電車が見えるのは私と彼女だけだった

ほかの者には異形の者と捉えられているらしい
私と彼女は乗り込み
そして窓の外を見やる
看板はアナグラム探しで
造形はやたら四角で
とげとげしている

どこでもない場所を進む列車は
メンデルス・ゾーンを通過して
茶色いアニメーションで進む
誰も見たことがない

奇妙なねじれ
肉体の踊り
強い意志
黒い歌
讃歌

願い
響く瞳
白い狂気
籤は絶対で
力尽きた樹木

誰も見たことがない
窓枠を目隠しで進む
瀞川のラ・パスを通過して
どこでもない場所を進む列車は

くらくらしあえる
彼女はかなりの皮肉で
車内をクリミナル気取って
そして窓の外を見やる
私と彼女は乗り込む
親切な人たちにおやめなさいとたしなめられながら

その電車が見えるのは私と彼女だけだった

骨が砕ける音

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