彼は頚を縊る瞬間 目を閉じたのだろうか 彼をさいなむ世界の総てを 見ずにすむようになったのだろうか
彼女は身を投げた時 口を開けたのだろうか 彼女の中に澱んで行った 心を全部吐き出せたのだろうか
君も家に帰り着けば 耳を塞ぐのだろうか 言葉も意志も空も水も嘘つきで でたらめの街は時間だけが正しく過ぎて
ぼくは無機質な雑踏の中 誰にも届かないSOSの口笛を吹く ぼくらが何も変えられないのなら 誰か代わりに生きてくれないかな