でたらめの街

彼は頚を縊る瞬間
目を閉じたのだろうか
彼をさいなむ世界の総てを
見ずにすむようになったのだろうか

彼女は身を投げた時
口を開けたのだろうか
彼女の中に澱んで行った
心を全部吐き出せたのだろうか

君も家に帰り着けば
耳を塞ぐのだろうか
言葉も意志も空も水も嘘つきで
でたらめの街は時間だけが正しく過ぎて

ぼくは無機質な雑踏の中
誰にも届かないSOSの口笛を吹く
ぼくらが何も変えられないのなら
誰か代わりに生きてくれないかな

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