どこにいるときでさえも
ぼくの胸を鳴らす電子音
来たるべき時代の幕開け
パスワードは秘密裡に
いざ行け我がメッセンジャー
返送に怯えるのは本人だけでいい
いないひとへの伝言
記録されるコミュニケイション
増幅される会話研ぎ澄ませ
おぼろげな紙芝居の「アリガトウ」
地球の裏側まで延びるケーブル
心に突き立てる細いアンテナ
この道の向こうは圏外である
訴求力なく目覚めれば新しい世紀
空を跳ぶ電波たちの姦しい響き
来るべき時代のパノラマに
ぎこちないモデム音の「コンニチハ」
君を迎えにいくまでに
どれだけの電波を載せるのだろう
芽生えた好奇心は注意深く摘み取られ
新しい技術が世界を狭めてゆく