かりもののことばで
こころをささやけば
ひとり黙してぬけがらになる
「楽しいわなんだかとっても楽しいわ」
これも仕事のうち
なのかしら
リセットをすれば
とにかく大丈夫
そういうふうにできているから
あやまちもたくらみも
うそもまやかしも
ぜんぶ忘れて夕波小波
人間の価値を
利用限度額で測る
無邪気なシステムである
あしたばもゆずりはも緑
ぽつりと首落とす椿の
葉もまた緑
あるのです
ここにないけどそれはただ
かたちを持っていないだけです
思い出を作れもしない
無気力さ
でもそれだけが存在理由
傷まない心はないよ
それならば
ビー玉色の傷にしようね
わかるだろ
止まったのだよブランコは
機械がチェスを覚えたあの日
遠くまで泳ぎ
疲れて浮かぼうよ
ゆがんだ水平線になろうよ
むぎばたけさわめく黄昏
とけあえない影絵は
恐いくらい鋭角
はんだゴテ基板の緑
焦げた匂い
黙々ラジオを治す少年
頬寄せてくちびる寄せて
なにもしない
ただそこにいることにしあわせ
図書室は
黙りに行く場所
哀しげな人に声をかけてはいけない
これまでにしたことではなく
これまでの後悔の数で
決まる卑怯度
泣きじゃくるなら抱きしめる
うつむいて
ただけだもののようにやさしく
この世界がなかったころと
この世界が終わったあとは
きっと似ている