そこには長い休暇がうずくまっていた
ぼくらはまだ何にもなりきれてなくて
だから何にでもなれると思っていた
この空の青と太陽とひまわりの間に
うずもれていた休暇を引っ張り出すと
夏休みはしっかりとぼくらを抱え込み
8月31日までの片道切符を走ってくれるのだ
まぶしすぎて原色しか見えない
白黒の宿題も忘れてしまうよ
木の陰は眠り薬
毎日がお出かけ日和
確かなものはなにもなくても
大きな声で笑ってあげる
転がってくっついてはしゃいで
自転車のスピードで夏を打ち落とす
転んだあとの絆創膏ちょっとかゆい
たくさんウソついてたくさん約束して
たくさん泳いでたくさん朝寝坊して
まだ夏なのに夏休みは終わる
計画性のない子の夏休みが一番早く終わる
また休みはこまぎれになってばらまかれ
入道雲になってさよならしていく