あなたの最後の友達は誰ですか
小さなころならば誰もがみんな
手をつなげばすぐに友達だった
それから少しずるい手を知って
友達とそうでないひとを分けた
大事にしなければ大事なひとは
大事にならないからとつぶやく
やがて世界はどこまでも拡がり
友達という言葉は嘘っぽくなる
今日もまた新しいひとと会って
挨拶を交わし要件を伝え合って
別れたら残ったのは名刺ばかり
大事にしたかった大事なひとは
日々の喧騒に紛れ見えなくなる
そしていつの日か気づいたのは
大事にしなかった友達はそっと
知らぬ間にいなくなってしまう
あんなに大事だと思ってたのに
つなぎとめられなかったんだな
齢はるかこえていつか黄昏時に
ぼくらは静かな孤独と向き合う
一日の喜び悲しみを分かち合う
最後の友達を持てるのだろうか
妻でない夫でない家族ではない
信じあうことだけでわかりあう
少年少女のような最後の友達を
大事にしなければ大事なひとは
大事にならないからとつぶやき
今はもう違うのならば昔の友達
友達は増えるばかりだと思って
いいように生きてきた現在なら
それは剥がれ忘れられた思い出
もうどこにもとどかないため息
大事な友達を大事にできなくて
大事だったのにと言えずじまい