MAN-MACHINE
人間解体.そう名付けられた音楽CDが目の前にあります.ロシア構造主義を
あからさまに取り込んだデザインのジャケット,SHOWROOM-DUMMIESという
マネキンをモチーフにした曲とそれにあわせたメンバーの顔写真.ひたすら
人間を機械に近付けようとした結果の音楽.ポップスの最低限の要素すら
ばっさり切り捨てているので好き嫌いは分かれるかもしれませんが,でも
このマシーナリーな等配分された音のリズムにどっかーんとやられてるのが
現状なわけです.すべてが機械で作られているのに,この湧き上がる原始
巨大文明や古代宗教のイメージはなんなんでしょう.未来なのか過去なのか
よくわからないままアルバムは進んで行きます.ロボットやメトロポリス,
ネオンライツなどのレトロフューチャーな曲名とはうらはらに近代化への
警鐘を鳴らしているかのようなこのアルバム.買い込んだ時からえんえんと
セラピー代わりに使ってます.こんなふうにして人間は人間でなくなって
いくんだなあ,というのが垣間見えて楽しいです.歪んだ鑑賞法ですけど.
最近はテクノ音楽も細分化されて来てハッピーやらナードコアやらガバやら
アンビエントやらハウスやらロッテルダムやらトランスやらミニマルだとか
チルアウトだとかイビサだとか,だんだんわかんなくなってきてるんですが
それでもやっぱり音楽が好きなんだなあとつくづく思ったりするものです.
それはいろいろいろいろある世の中の痛みを緩和してくれるからですね.
すっかり音楽依存症になりつつあるわたくしめですが,とりあえず人間を
やめなさいといわれたらあんまり抵抗しない気がするなあ.そのままどこか
マシーナリーな世界に溶けこんで,感情を抜かれて過ごしてみたいような
気持ちがぎゅんっと強まっているのですよ.もう怒りも悲しみもたくさん.