ゾウの読書ネズミの読書
このあいだ英語論文を読んでいた時のこと.このままでは授業での発表には
間に合わないな,と踏んだぼくは自分に飴と鞭を与えることにしました.
つらかった,いやほんとにつらかった.だけど頭の中を一気に英語モードに
切り替えて斜め読みしたり流し読みしたり読んだふりをしたりで,なんとか
授業には間に合う程度に論文を読みきりました.あーしんどかった.今度は
もう少し時間に余裕を持とう,と考えるだけ考えておく.実現するかは別.
でも文庫本でも読むの遅くなったな,とつくづく思いました.読書の速度は
昔は一日で文庫本二冊くらい軽く読めたはずなんですが,今は頭の動きが
鈍ってるからかなんなのか,楽しく読んでも三日はかかりました.内容も
別に読みにくいわけでもなく,至極普通のSFだったわけなんですけれども.
やっぱり読む速度がとろくなってる理由は,昔ほど時間がとれないという
こともあるんでしょうか.小さかったころにはコマネズミみたいにくるくる
取っかえ引っかえ読んでたもんですが.多量に読んでたからといってその分
内容の密度が低くなるということはなかったと思うし,今となってはもはや
神の御技としか言いようがありません.今の読書傾向は下り坂一辺倒で,
時間も取れなきゃ新しく読む本も手元にない,という状態でございました.
既に読んだ本を読み返すことばかり.そこで一歩深く堀り下げるでもなし,
ただ単に同じところで笑い同じところで泣くという清く貧しい読書生活.
新しく本を買ったのもすごい久しぶりな話で,勝手に増えていく雑誌以外で
わざわざ買ったのは二年くらい昔のことなんじゃないかなあ.本当に昔は
趣味は読書です,ときっぱり言えたものだけれど,ここ五年ほどの傾向では
読書が趣味とは到底言えないレベルに下がってしまったものです.とほほ.
ということで久しぶりに新しく小説なぞ読んだのですが,心うち奮えると
いうところまでは行かなかったのが残念.四方八方から名作との折紙付きの
作品であるだけに,もっと多感な十代の頃に読んでいたらなあ,との後悔が
わきわきと湧き起こってきます.頭が半分壊れている現在,何を読んだとて
同じなのかもしれませんが.でもそうだとしたら,とても悲しい話かも.