水を飲む夢


気がつくと電車の中で揺られていて,外は日が暮れて一時間ほども過ぎた
あたりであろうか.空気は少し湿っていて,車内はそんなに快適だとは
いえない.吊革をぼんやり握って混んだ中をつっ立っている.近くの人の
肩掛カバンがだいぶずり落ちていて,服も一緒にずれて肩筋があらわに
なっている.ぼくよりいくぶん背が低い人なのでいやが応でも目に入る.
そしてようやく目的地に着いたらしく,ぼくはほとほとと電車を降りる.

小さな駅にしては広い階段を学生たちが降りて行く.制服を着ている割に
経済原論の授業がどうとかいうことを述べている.普段降りたこともない
駅から出ようとすると,学校の先生に出くわす.すれ違いざまに挨拶を
かわしただけだが.駅から降りるとミネラルウォーターの自動販売機が
目に止まる.このあたりは名水がたくさん出ると言われているらしい.

駅からほんの少し離れたところに化粧品屋と見紛うばかりの水専門店が
あり,もう閉店してはいるものの中の様子は灯りでガラス越しに窺える.
原色とクリスタルを多用した内装はぼくが入ると違和感を覚えそうだ.
入口につっ立っていると,そばに試飲用の小さな蛇口が設置されていた.
蛇口をひねって一口飲む.少し塩味がかって生臭く,すぐに吐き出した.

駅前はいろいろなモノがあり,やはり有名水どころがどうとか書かれた
公園の水飲み場が目についた.とりあえず口直しとして飲む.ほの甘くて
ややぬるめで,なんだかとてもおいしいのだがちょろちょろとしか出ず
流量が足りなくて少し不満気味になる.とりあえず飲んで栓を閉めた.

…という夢を観たんですが誰か分析でもしてくれませんか.夢の中でも
味覚がはっきり感じとれるというのは結構稀有な状況だと思いますので.


back.