ほめられて,うれしいな


先だって懸賞公募に出しておいた雑文について,批評が返ってきました.
いはく,個々の文章は個性的で,言葉に対するセンスの良さが窺えると.
ただ個々の作品には一定の訴求力が認められるものの全体に統一感がなく
まとまりに欠ける,とのこと.作品のコンセプトをより明瞭な形にして
構成していけば今以上の完成度を得られるだろう,と書いてありました.

ものすごいうれしいです.いままでつらつら書いて来たモノに対しての
冷静な第三者からの批評でこれだけお誉めをいただくとは思いもよらない
ことでしたから.ちうか批評が返って来るだなんて思いもよらなかった.
この手紙を信じれば作品の選択と構成のほうを練り直すことが大切なので
あって,作品自体はそれなりのクオリティを持ってるってことですよね?

また,審議の席でこの作品群を非常に熱心に支持する委員がいたらしく,
この作品はその瑕疵を補って余りある確かな輝きを包含しており,特に
同世代の読者の支持と共感を得ると思われる,ということだったそうな.
自分でキーを叩いててうぬぼれちゃいそうなお褒めの言葉の数々である.

もし希望するなら出版のお手伝いをいたしますよ,と手紙は括られており
なんだか浮かれまくったぼくは出版社に突撃することにいたしました.

車に揺られて10時間以上,ようやく出版社に辿り着く.…想像してたのと
だいぶちがう.ぼくが思ってた会社というものは,なんか雑居ビルの一角で
フロアを間借りして,とかいうものだったんです.よもや自社ビルだとは
思ってませんでした.どだーんと立ってるし.会社名ばーんと映えてるし.
こんなに大きな規模の場所だとは.ものすごいふつーでラフな恰好をして
入るのがためらわれるくらい.やっぱり暑くても普通のズボンを履いて来る
べきだったかなあ.やっぱり半袖半ズボンのぼてぼてな服装じゃあなあ.

迷っていても始まらないのでとりあえず約束の時間まで近くにある図書館で
時間を潰し,どきどきしながらレツゴー.受付嬢にこうこうこう言う理由で
約束がある,と告げ,同じフロアの面談室っぽいところへ通される.あとは
茶を飲みながら担当さんが出て来るのを待つ.いまミーティング中だそうで
少し待たされるが,その間いろいろ回りにある広告などを見て時間を潰す.

さて担当さん登場.お名刺をいただいていろいろ話す.出版界の現状から
この会社がどういう経緯でどういう行動をとってきたかまでを説明され,
さて出版については企画出版ではなく共同出版というかたちをとるという
ことが示される.企画出版なら著者負担はゼロなのだが,共同出版の場合
初版分の経費は著者が負担することになるのである.その金額150万円.
…えーっと,ぼくは現在無職で,おうちもびんぼうで,そんな金をぽんと
出せるわけもないということを伝えて話はおしまい.とりあえずこれまで
書いて来たものどもを手渡して去ることにする.いや,これから稼いで
なんとか仕度金が整えば出版しようと言う意気込みはあるんですが,何せ
現状が現状ですから.ま,また別の懸賞公募に挑戦すると言う手もあるし.

とりあえずうぬぼれだけは強くなったかもしれない数日間でありました.


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