探検されてしまうくらい貧相な家
実家の方に帰った時に,時間があったので前の家を探検してみることに
なりました.立て替えてから5年近く,前の家はすっかり廃屋というか
みごとな廃虚になり下がっておりまして.だけど姉のひとがどうしても
小さいころにとっておいたあれこれが今一度見てみたいと言ったために
父のひととともに玄関ではなく縁側から窓を開けもぐり込むことに.
家は潰すのにもお金がかかると言うので現在もほったらかしなわけです.
まずは箪笥がどーんと.亡くなった祖母のひとのものである.それから
引っ越す時にくくりわけたぼくが持ってた昔の本の山.一応保存状態は
極悪ではなかったものの良好だったわけでもなく,ほこりにまみれまくり
とりあえずそのまま持って帰るのはきっつい品になっておりました.んで
姉のひとは二階の自分の部屋へと探入し,ぼくはぼくで自分の部屋へと…
行けない.床が抜けそうだ.幸いぼくの1/2ほどの体重である父のひとが
いらない棚を使って道を作ってくれたのでそちらのルートで通り抜ける.
いや,実際住んでいた時も既に雨漏りし放題で床抜け放題だったので,
傘をさして風呂に入ったり「ここは踏むと抜ける場所」というマーカーを
台所の床中にテープで作ったりと,大変なことになっていたわけですが.
とりあえず自分の部屋へ到達成功.床一面書類および本だらけである.
救ってあげられなかった活字たちへの黙祷をちょっとだけ.で,けっこう
稀覯本になっている昔のマンガ雑誌の付録冊子を発見.でもそこの棚は
真上の天井が抜けてて保存環境としては最悪.本としてページをめくる
ことができただけでもめっけもん,という状態でした.もしもこの本が
別の棚に保存されていたら,転売やオークションで結構なおねだんが
ついたやもしれず.いや,売らないけど.活字好きの血が売らせません.
幸いにも保存状態が良かったのはアナログレコード盤.今では激レアな
モノなど掘り出すことができて満足まんぞく.未CD化音源ゲットだぜ.
とりあえずこれは新しい方の家に持って帰ることにする.ことのついでに
姉のひとの部屋へと行ってみる.この部屋がもっとも保存状態がよいようで
それなりに使えるものがあれこれと.中でも大事にしまっておいた財布の
中身に500円のピン札が入っていたのはすごかった.確か500円が硬貨になる
直前に,「これはきっと価値が出るから」ということで銀行で両替をした
はずのものがそのまま.あとは普通にまぎれていたよれよれの100円札が
数枚など.いずれにせよ最近の若いもんなぞは未知のブツでありましょう.
さんざん物色したので汗がたらたら.隣であるところの新しい家に帰って
顔を洗う.時々実家の夢を見るが,それはすべてあの廃屋が舞台である.
家を立て替えたのはぼくが家を出たあとの話なのでしょうがない話だが
それはなんとなく不思議な感覚を呼び起こすものである.顔をあげたら
目の前に鏡,そして自分の姿.年をとるのはステキなことなのですか.