私は,捨てない.
季節はずれのお引っ越しをすることになりました.んで,今回に限っては
自分で自分の荷物を片付けることを放棄してしまうことに.なんかもう
どこから手をつけていいのかわからないのですよ.未来の世界のネコ型
ロボットに電話してなにもかも一掃してもらいました.こういうのを
見ると,やっぱりプロの仕事は違うなと思いました.ただ単純にいろんな
モノに関する思い入れがないのも片付ける手間を省く一因なのかもなあと
思いました.業者は「あーこんな本あったあった」と読み耽ってしまったり
「おーこんな写真が出て来た」と過去に思いを馳せたりしないものです.
しかし,実際に次の家に移ったとき,悲劇は起きました.業者が本の多さに
僻易したのかどうかはわかりませんが,家中にある本がすべてぼくの部屋に
積み込まれてしまったのです.ぼくが習ったこともないドイツ語の本だとか
見たこともない白血球の研究書だとか,ありとあらゆる本が「本である」と
いう理由だけですべてぼくの部屋へ.はっきり言って場所がありません.
本棚に本を入れようとしても箱を開く場所がない有り様.これってどうよ.
正方形の段ボール箱は隙間なく積み上げられ,一列に並べると消えそうな
イメージが.いや,消えてもらっちゃ困るんですけどね.この箱の中には
すでに絶版になった本が! とか言って後生大事に取っておくからこんな事に
なっちゃうんですけどね.いいやい,いつかお金貯めて書庫を買ってやる.
現状は少しずつ廊下に出しながらちまちまと開いていくしかないのかなあ.
でもこれで一年くらいはかかるかな,と開きなおるわたくし.あとはもっと
スペースが空いたら本棚を買い足して….と長期戦は避けられぬ模様.でも
決して本を捨てようとは思わないのです.文字を大事にして来た人生なので
なんか印字されてるともう捨てられないんですね.ビョーキが酷いときには
レシート一枚さえも捨てられませんでした.最近はやっとレシート,および
電車のプリペイドカードが捨てられるようになりました.でも本になると
週刊誌のたぐいでさえ捨てられず….いいんです,ビブロマニアの十字架を
一生背負っていく心構えは出来てます.あとはそのポリシーを貫くだけの
精神力と財力ですね.後者に相当不安がありますが,それでもできるだけ
やっていきます.このかわいい子たちを捨ててたまるもんですか.などと
強がりだけ一人前なのですが,なんとか策を練らないといけませんねえ….