rendezvous with Mars
60000年に一度,というラッキーに見舞われた火星大接近ですが,なんだか
天気が悪いのと都会の空の明るさでいまいち実感が湧かない.ということで
「望遠鏡で火星を見ましょう」なるイベントが近所の小学校で行われるのを
これ幸いと行ってきました.ひとりで行くのも淋しいので先輩なぞ誘って.
…方向音痴と方向音痴が二人して道を探しても絶対に迷う,という事実が
明らかになりました.まず最初にランドマークとして設定した曲り角が
見つからないというハイレベルな方向音痴加減.この道はまっすぐ続く
はずなのに,行ってみると行き止まりだとかそんなんばっかり.さらには
ぼくは自転車を押しながら歩いているのですっかりへとへと.そう,この
近辺にはけっこうな勾配の坂が多いのでそれがかなりつらかったのです.
さて,なんとか辿り着いた小学校.なんかすごい賑わってるなと思うと
実は夏休みの自由研究をここでやってしまおうかという無計画な小学生の
やかましさが賑わいのモトでした.他の人もその保護者といった感じで,
年齢不詳のおぢさん約2名が所在なさげにつっ立っておりました.んで,
まず最初にこの火星大接近がいかにめずらしい現象であるかの解説を
ひとくさり,それからスライドを校舎の白い壁をスクリーン代わりにして
かしゃかしゃと走らせる.でも手際がいまいち悪かったのが残念賞です.
ほらいよいよ望遠鏡のセッティングもできて,複数の望遠鏡にわらわらと
人が並ぶことに.あんまり立派そうな望遠鏡は列が長いので避け,適当に
順番を待つことに.実際に空を見上げると恐いくらい赤い星がひとつ.
望遠鏡で見ると,確かに極冠が見える.思わず触ろうとしてしまって,
先輩および望遠鏡管理者に止められる.そうか,そういえば望遠鏡って
角度をちょっとでもずらすと見えなくなるものだっけ.まだいたいけな
子どもだった頃,家の望遠鏡で星を見たけど,それっきり使ってないと
いうことに気づく.あのころはまだ眼鏡をかけていなかったから,今ごろ
望遠鏡を覗く時には眼鏡をどうするのかが咄嗟にわかりませんでした.
…なんだか妙に自分が歳を取ったんだなあ,と思わされてしまいました.
はてそんなことがありつつ,祖母のひとの一周忌ということで親のひとが
姉のひとの家に泊まりがけで来る.まあいろいろな話をして,たとえば
お前はまだもっといいところに就職できるはずだ,とかそういう説教を
正座して聴かされるわけです.里心がついたのか,実家も店も引き払って
こちらのほうに来たいなどと言い出す.うー,この不況の下でやってくのは
さすがに無理があるとおもうのですが.で,そんなこんなで夜空の下を
家族でほてほて歩いていたのですが.やはり空を見上げると空にはぽつり
赤い星が見えました.「そういえば,火星は見た? 」と姉のひとに尋ねると
「そんなん興味ない」のひとことで一蹴されてしまいました.…うーむ,
60000年越しの大イベントでも,そんなことをかけらほどにも思わないで
生きていくひともいるのだなあと考えてしまいました.もともと姉のひとと
ぼくとはいつも反りが合わないのですが,こういう部分ですらもお互いに
分かり合おうという機会もその気もないのがよくわかりました.なんとなく
そんなことを考えながら,空には月と火星が仲よさげに光ってましたとさ.