大人になりましょう


特に呼ばれることもなかったのですが実家へ帰省.おみやげは父親のひとへ
iMac に繋げる HDD を,母親のひとには抹茶とあずきのプリンを.飛行機の
手続きは10月くらいに手配しておいたので,年末30日に帰省して年始5日の
便で戻ればいいでしょう.まあそんなに間が持たないとは思うのだけれど.

帰省当日.空港に着いてから件のおみやげを家に忘れたことに気づく.もう
しょうがないので次の便に切替え.幸い空港はアクセスしやすい場所なので
いったん家に帰るのも可能.さくっと荷物を取りに戻って機上の人となる.

30日夜半.実家の経営する店の最寄駅に着くが,しばらく客がたて込んで
迎えの車が回せないらしい.それならそれでいいよーと告げて駅で読書.
小一時間ほど経ったころ父親のひとが迎えに来てくれたので車に乗り込む.
まだ店はやってる模様.結構遅くまでやってるんだね.というかそろそろ
店を閉めようかと言う時に来る客を断らないというのはなかむら家の家訓と
言うことを今日初めて知りましたが.で,適当に客をあしらいながら店の
すみっこでうりゃうりゃ携帯電話と格闘.メールのやりとりなどしていたら
友人と食事にいく約束がポシャったことが判明.うー.じゃあ何のために
こっちに戻って来たのかわかんないじゃないですか.そして店が終わって
まかない飯をいただきつつ,現在の状況などを話し合う.だけどなんだか
とても怒られているよ.ひどく怒られているよ.確かに給料はそんなには
多くないけれど,マイペースでやらしてもらってるし自分に合った職だと
思うんですけれど.「そんなんやったらもう辞めて帰って来い,そこらで
土方でもしとったらええねん」とか「近所の鉄工所に勤めてる連中の方が
おまえより稼いでる」とかなんとかかんとか.えーっと.それはある意味
特定の労働者のみなさまを愚弄してませんか? いずれにしろ父親のひとも
母親のひとも,物凄い勢いで不機嫌になっていく.月収10万ですみません.

さて,31日.ぼくは自分の部屋でのーのーと寝ていて,親のひとたちは
今日も仕事に出かけて行く.店まで行くための交通手段を持ってないので
帰って来るまで留守番.とりあえずいつのまにやら ADSL 環境が整って
いたので使い慣れない Mac と格闘.メッセンジャー入れたり telnet を
使ったりと,いろいろやってる間に親のひとたち帰宅.おつかれさまです.
テレビも付きっぱなしのところをぐうぐうとこたつで眠りこけるお二人.
なんにも言わずに勝手に風呂に入って自分の部屋に上がり寝ることにする.

そして元日.親のひとたちは起きている.そら昨夜早く寝たからなあ.んで
ぼくはのそのそと昼過ぎを少し過ぎたあたりに降りて来る.このあたりで
すでにしかられ日和.それからはもうなんか泥のような時間を過ごすことに
なるとは,まだ知る由もなかったのでございます.と怪奇マンガのように
言ってますが,今回ちょーっとつらかったっすね.いやはやまったくです.

「現在の自分で満足してるて,それはお前頭オカシイんちゃうか」「こんな
スカみたいな子どもになるとは思わんかった」「おまえを育てるのに親が
どれだけ金を使ったかわからんのか」「投資やと思ってたのがアホみたい」
「それでええって言うんなら月10万円でいいから仕送りしてみろ」「大体
おまえまだ薬服んでるんか」「そんなん服んでるからいつまでもアカンのと
違うんか」「もうそんな仕事辞めてまえ」「何のために大学まで行かせたと
思てるんや」「やっぱりあの時死んでればよかったんと違うか」「学歴が
いらんのやったらなんでもっと早く言わんかったんや」「それやったらもう
中学出てすぐ働いてた方がよっぽど給料もええやろ」「おまえみたいな奴を
芯から叩き直すような施設に入ってやりなおせ」「だいたいあんたは何にも
運動せぇへんかったから本当のつらいことがわからんまんま育ったんや」
「だいたいそんなに太ってる人間のことなんか信用されへん」「だいたい
おまえくらいの年の連中はみんな身なりもちゃんとしてるやろ」「明日が
同窓会やって嬉しそうによう言うなぁ」「俺やったら恥ずかしくてそんなん
よう行かんわ」「ようそれだけドあつかましい生き方できるな」「そもそも
そんな機械とばっかり喋ってたら人間オカシなる」「小学生の頃パソコン
買うてもろた時からお前はひとつも成長してない」「やってることなんか
なんの進歩もないやんか」「世の中を間違うて生きてる」…などなどなど.

元日の夜から始まって,2日の午前8時半までこんな調子で説教食らう28歳.
そういうわけで寝るのが遅れる.もちろん薬は常備してあるし服みました.

さて,元日にいきなりMLで連絡事項が流された同窓会.どれだけの人数が
この連絡に気づいて集まるか,というのが危惧されていたものの,結果的に
12人くらいの結構いい感じに集まってそこそこに楽しく.まあ家にいても
身体にや精神に良くないだろう,という友人の計らいもあってのことで,
まさに持つべきものは友である.しかし同窓会に行くのに「他のみんなは
みんなビッとした格好してるで,背広着て」「おまえみたいに小汚くて
みすぼらしい格好してるひとなんかおらんからな」という予言をしてくれた
母親のひと,あなたの預言ははずれています.全員平服.高校を卒業して
10年間,いろんなひとにいろんなことがあったようで情報交換.政治家,
研究者,公務員,教師,医者,会社員,フリーター,ポン引きなどいろいろ
道は分かれているようです.でもね,どれも勝ちとか負けじゃないんだよ.

あと親のひととのやりとりで,このようなことを話した覚えが.夜眠って,
朝目が醒めたとき,自分が元のままの自分でいられたことにほっとした事は
ありませんか? 自分が変わらずにいられたことに胸をなでおろしたことは?
「そんなんあるわけないやんか」「人間それやったらあかんのや」「さあ
今日も目が醒めた,一日頑張って稼ごうと思うに決まってるやんか」「大体
それどういう意味や,あんた何か宗教でも入ってるんか」とかとかとか.

それは勝ち負けで言うとどっちや,というのは乱暴な二分法ですが,そこに
価値観を見出してるひとの立場を否定することなどできようはずもなく.
でもただ頷くばかりでは済まされず,ついいくつか口を挟んではまた説教の
つまみにされてしまいます.大人になりましょう.大人になりましょうよ.

さて,期日を無視して3日の昼に帰ることに.親のひとたちには電話でしか
挨拶をしなかったけれど,「土産を持たせようと思った」とか「こづかいを
渡そうと思っていた」とか言われる.…子ども扱い? いや,息子ですけど.
そういうのはいらないから,と返事をして荷物を持って家路を逃げ急ぐ.
飛行機のチケットもキャンセルして払い戻し,新幹線の自由席に沈み込む.

それでもやっぱりぼくは自分のペースでやっていくよ.自分のことだもの.


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