目が醒めると同居のひと自力で帰宅していた.朝八時頃の話.
ぼくはまだ夜更かしがひどくて転がって寝ていた.一瞬だけ
おかえりーと出迎えて荷物を整理したはずなのだけれど,
それすらも覚えていないほど激しく二度寝と三度寝を続けた.
いいかげん夜も19時ごろになって来たために買い物に出かける.
夕飯のリクエストは「味の浸みないもの.喉に刺激を与えない
やわらかいもの」という,普段とはまるで違うお題だったので
こちらもとまどいつつ,どうしたらいいのか暗中模索する.
しかし同居のひとはうどんなどを啜ることすらできないほどに
喉がやられていて,下手なものは本当に出せない.そこで
選んだのはだし巻き卵.醤油ベースではなくコンソメベースで
だしを取り,冷ましてから卵を少しずつ溶いてゆく.四角い
卵焼き器に少しずつ流し込み,ひっくりかえし,ころころと
焼き色をつけることなく巻いていく.わりと美しくできた.
しかしこれが同居のひとにはすこし塩辛いという.普段なら
どれだけ塩加減を多めにしても「味が薄い」と言って譲らず
素材の滋味をぶちこわすように醤油などかけるひとなのに.
それほど喉がやられてるんだなあと反省.会話することが
難しい状況なので,どういうケアをしていけばいいのかすら
手探り状態なのです.役立ちたいのにその方法が分からない,
ちょっと滑稽な話ではありませんか.もの哀しいけれども.
病院から帰って来たぶん,夜になって洗濯物をがじゅがじゅ
洗い始める.虫除けのために滴下したペパーミントオイルが
希釈中に手の甲にかかってしまい,しばらく自分の周囲が
薄荷の匂いで充満.ペパーミントの精油には禁忌があり,
寝つきの悪い人は夜に扱うなといわれているというのに.
このところ崩れた生活をしているので,なおさら悪い方へ
転がった気がします.ひとまずよく手を洗っておきました.