どろりとろけた気の根っこ

起きたような起きてもいないような
ふわっとした感情の中,とにかくも
朝を迎える.なんにも考えていない.
同居のひとが出て行くところに起き
見送るでもなく見送る.どこまでも
ぼんやりとした記憶である.そして
風邪が治らない.床の中でげふげふ
ひどい咳をする.灰色の世界である.

まったく動かないままで別の世界へ
潜り抜ける.夢の中である.しかし
世界がきりきりきゅうきゅうと首を
縛られているようで,逃げ場がない.
自由な感情はどこにもいかないまま
じっと凝り固まっている.すべてが
硬直化している.出口は見つからず,
見つけようとも思えない.げふげふ.

同居のひとが帰宅.おかえりなさい.
買ってきてもらったごはんで食事を.
喉が焼けているのでやはりうんとか
うーとかくらいしか言えず.それと
心も焼けています.どうしていつも
逃げるほうに動くの,と言われても
自分の心のやり口はいつも同じです.

同じ逃避の手段として薬を服み込む.
これもやはり喉に引っかかりながら
それでも無理にでも飲み込んでいく.
なにも考えられない.考えないまま
生きていければこんな無理はしない.

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